トランスパシフィック・キャンペーン
「シリコンバレーに行ってみませんか」参加レポート

 
首都大学東京大学院都市環境科学研究科都市システム科学域修士1年岩本真利奈さん


昨年、tokyo U-clubの会員である加藤みどり様(紹介者福地)が歌手八神純子さんとの長い
友人関係である経緯から高校生以上の学生を対象とした「シリコンバレーへ行ってみませんか」ツアーのお話をご紹介いただきました。
東日本大震災の被災地支援活動であるトランスパシフィックキャンペーンが、シリコンバレーでの八神さんのチャリティーコンサートで寄せられた義援金で、東北の為に役立ちたいと考える学生を集めてシリコンバレーへ招待して下さるという企画です。

 
素晴らしい企画ですので、
首都大学東京の学生からも是非参加者が出ればと、
u-clubから募集のお話を大学へ案内させていただきました。
 
 

選考の結果
首都大学東京大学院都市環境科
学研究科都市システム科学域修士1年岩本真利奈さんが ツアーに参加する事になりました。

首都大学東京大学院都市環境科学研究科都市システム科学域修士1年岩本真利奈です。
2016年8月10〜16日の7日間、八神純子さんによる東日本大震災の被災地支援活動であるトランスパシフィックキャンペーンの一環で、シリコンバレーを訪れるツアーに参加する機会をいただきました。イノベーションの聖地と呼ばれるシリコンバレーを訪れ、東北の被災地の復興に向けて革新的なアイデアを考え 挑戦できる人材、またシリコンバレーと被災地との架け橋となり、東北から世界に向けて情報やビジネスを発信できるように なる人材の発掘、育成をサポートすることを目的としてこのツアーは実施されました。
参加者は全国から集まった高校3年生から大学院1年生までの8名です。以下に、ツアーの報告をさせていただきます。 

  1日目

成田空港に八神さんをはじめとするスタッフの皆さんと参加学生が全員集合しサンフランシスコへ向かいました。サンフランシスコへ到着すると涼しく快適な気候に驚きました。
 
はじめにOracle社を訪問しました。まずOracleの主力サービスであるデータベースの形をした建物を中心として一つの町のようになっている社内の様子に衝撃を受けました。社内のカフェテリアでランチ後、ここで働いている日本人の方々にお話を伺いました。渡米した経緯や現地での生活、仕事のお話をしていただき、初めて“海外で働くこと”がいかに日本と違ったものなのかを知りました。日本と大きく違うのはトップダウンの形式をとっているところだそうです。
 
 次は、Google 本社へ。現地で働く日本人社員の方にビジターセンターと、実際のオフィスの一部を見せていただきお話を伺いました。ソファやカフェテリアで自由にリラックスして仕事をする人が印象的でしたが、結果が出せないとクビになってしまうというシビアな一面もあると知って、日本の過程を大事にするような風潮とは全然違うと思いました。またビジターセンターではグーグルアースを大きな画面で操作できて実際に歩いているような気になれるものといったグーグルの人々の斬新なアイデアがたくさん見られましたが、そのアイデアが生まれるのはその自由な社風があってこそなんだと感じました。
 
夜は夕食を食べながら現地の大学生2名と日本語、英語を混ぜての交流を行い、同じくらいの年齢なのに“自分が世の中のために何をすべきか、何ができるか”をすごく考えていて刺激をもらいました。行動力もすごくあり、自分がやると思ったことはちゃんとやって周りに発信していることが本当にすごいし見習おうと思いました。日本ではクリティカルシンキングをすることは特別なことであるのに対して現地の学生はそれが当たり前になっているというのが常に物事を深く考えられるかどうかの違いだと感じました。
 


 

  2日目

B-Bridge 社長で現地スタッフでもある桝本博之さんのお話を伺いました。起業の経緯やシリコンバレーの成り立ち、心でコミュニケーションをとることがいかに大切なのかを学びました。特に桝本さんの話し方にすごく惹きつけられ、人に興味を持って話を聞いてもらうことがいかに大事なことなのか実感しました。お話を聞くまでは、自分は安定した環境の中で普通にこれからも働いていくんだろうなと思っていたが、実現が難しいかもしれなくても世の中のために自分がやってみようと思うことは全部チャレンジしてみようという考えに変わりました。また、そういう仕事をしていくにあたってネットワーク,好奇心,人との心からのコミュニケーションは欠かせないことを忘れずにいようと強く思いました。それからApple本社のカフェテリアで昼食をとりながら現地の日本人社員7名の方と交流をさせていただきました。Appleは社員同士の交流をとても大事にしている企業で、部署をこえた関わりを積極的に行うそうです。午後は一回目のワークショップが行われました。“被災地復興に対して自分は何ができるか“というテーマで、各自で用意してきたプレゼンテーションを行い、意見交換やフィードバックをいただきました。参加学生の多くが東日本大震災を経験しており、被災しながらも、今実際に何かしようとしている人たちの考えを聞くことは、普段学ぶ立場として被災地に接している私にとってとても新鮮でした。参加者それぞれの専門や得意とする事を生かしてできる復興支援を改めて認識でき、自分にはなかった考えにも触れる事ができた有意義な時間でした。また自分自身が今やっている事を省みるいい機会となり、今後修士研究をしていく中で、また就職して実際に社会に出てできる復興支援について再考することができました。
その後は Voice4Uというコミュニケーションアプリを開発されたスペクトラムビジョンズ創業社長の久保由 美さんできないことを理由にしない、というメッセージがとても印象的でした。自分でもよく「時間がないから」「失敗しそうだから」といったことを理由にしてやらないことがあったけど強く意志を持ってどうにかしてやろうとするようにしようと思い直しました。なんでもやってみよう、人々のために発信できることはしたいという考えを持ち続けたいと思いました。

 

  3日目

この日はスタンフォード大学を訪問しました。午前はキャンパスを回り、開放的な研究室の至るところで学生がディスカッションをしている様子を見ることができました。午後は医学部で新しい医療機器の研究をされている池野さんと、人種問題、 女性学などについて教鞭をとられている竹内さんの講義を受けました。“枠の中についての意識は誰でも持っているからいかに枠の外のことを考えられるかが重要である”という言葉に衝撃を受けました。 

 

 

  4日目

午前中にゲーム開発会社勤務を経てアプリ開発をする起業家の加東さんによるお話がありました。お話を聞いて自分の好きなことを仕事にするのはとても魅力的であると感じました。また働くという意識でなく好きなことを夢中で本気でやるという考え方や、その自分が作ったものを人が喜んで使ってくれるのが嬉しいというお話がとても印象的でした。
その後、八神純子さんのお話を伺いました。歌手になられた時のことに始まり、東日本大震災の被災地支援活動のことについても多くお話いただきました。八神さんがこれまでされてきた東北の復興支援などの活動で多くの人々と出会ったことが「枠の外を考える」ことを可能にしているというのがとても印象的に残っています。また様々な人と出会い関わる中で、良いことと悪いことは共存していて、そこではlostもあったけどそれよりも学ぶこと(gain)が多くあった、物事は捉えようだということはとても大事なことだと思いました。また、自分の可能性は短所にあるという言葉も心に刺さりました。物事は考えようで全て変わってくるんだということを常に頭の中に留めておこうと思いました。午後はサンフランシスコ観光へ。 夜はBBQに参加し、その後八神純子さんのミニライブがありました。初めて八神さんの生歌を聴いて、その力強さに圧倒されました。

  5日目

最終日となったこの日は、現地スタッフの赤間さんが働いているAnacor社というバイオベンチャー企業を訪問しました。赤間さんから、社内を案内していただき、Anacor社の取り組みや、お話を伺って、シリコンバレーのベンチャー企業がどういう経緯で成功していくのか、実感することができました。 ハイリスクハイリターンの仕事について初めて詳しい話を聞いたため、とても興味深かったです。薬が実際に製品化するのはすごく確率が低いことを知ったが一方で自分が開発したものが実際に薬になったらそれはとてもすごいことだと知りました。また、仕事だけでなく普段の生活をしていく中でもプロジェクトマネジメントをして行動に移すことでいろんなことがうまくいくんだということを学びました。また、リスクとは恐れて避けるものではなくコントロールするものであるというお話がとても印象的でした。
午後は二回目の被災地復興アイデアワークショップが行われました。一回目のワークショップでいただいたフィードバックを元に、グループワークを行いました。みんなとアイデアを共有してKJ 法やフィッシュボーンといった手法で、東北を盛り上げるにはどうしたらいいかについて、議論を深めました。 
 


 

すべてのプログラムを終え、シリコンバレーで働く人、現地の学生、ツアーの参加者と様々な人に出会って、いろんな話を聞いて、議論して、考え方や行動力が自分には全くないものばかりで大きな刺激を受けました。東北をフィールドにして震災復興に役立つ研究をするというのが私の中で復興支援のゴールとなっていたのですが、もっとできることがあるのではないかと思いました。研究にとどまらず、それを何らかの形で生かして、失敗を恐れずに自分にしかできない形の復興支援を継続しよう、と強く思いました。また、今回のツアーで新しく出会った人や考え方は今後大きな財産になると感じています。
 
 
U-clubでは今後も岩本さんの活動を応援してまいります。
 こういった機会を今後も紹介していけるよう努力いたしますので、たくさんの方々のご支援よろしくお願い致します。